2008/11/10

何も無い風景


*Minuteman Missile National Historic Site

冷戦時代の大陸弾道核ミサイルの地下発射基地&ミサイル・サイロという物騒なものが「国立公園」の一環として保存・公開されている。 アリゾナ州ツーソンではタイタン・ミサイルの旧発射基地が公開されいるそうだが、ここはミニットマンIIミサイルの施設で、戦略兵器削減条約の一環で90年代に退役したものだ。

サウスダコタ州、I-90ハイウェイのバッドランズ国立公園と同じ出口、ガソリンスタンドの横に見学事務所はひっそりとあった。冬季には一日の1回ツアー(夏は2回)があると知り、”百聞は一見にしかず”を実行しようと来てみたのだが、突然の積雪の影響でこの日のツアーは中止。説明は聞けたが、見学は出来なかった(実際の施設は事務所から少し離れている)。

交通量の多いハイウェイや観光客も多い国立公園のすぐ近くという身近な立地条件。核ミサイル発射施設は地上からは目立たないようにあったとは言え、別に「秘密基地」だったワケではなく、その存在は地元住民によく知られていたのだそうだ。実際、住民から用地を取得して大規模な建設が行われたので、そもそも隠せるものでもなかったし、「平和維持のため核配備」という考え方への理解の為に、時には施設を一般公開していたのだそうだ。

核抑止論が有効かどうかはともかく、少なくともボタンが押される事なく、冷戦時代の「歴史的資料」として公開されるに至ったのはそれだけ平和になった証だ。それでも、まだミニットマンIII 500基がこの地域に主力兵器として現役配備されているそうだ。

何も無い風景が広がるI-90を運転しながら、いや何も無いんじゃなくて、この風景の中にはまだ核ミサイルが散らばって配備されているんだ、と思うと複雑な心境だった。